touring 3-4 '09

+ 4
UFO。 宇宙人。
私が幼かった頃は、 「 UFO大百科 」 や 「 宇宙人大全集 」 なんて本が書店に並べられていたものだが、今はどうなんだろう。
昔から、それらの類はいわゆるキワモノ扱いであって、子供ながら 「 どうせ合成写真か作り物だろ 」 などと醒めた見方をしながらも、どこか 「 本物だったら凄いなぁ ホントにいるなら見てみたいなぁ 」 と思わせるものだった。
現代の子供達には、どの程度のモノなのだろうか。
科学が発達した現在、最新の画像解析技術によってそれら写真や映像は、結局は 「 合成 」 、光や他の異物の写り込み、自然現象 ・ ・ ・ という空想や夢を挟む余地の無い、素っ気ない言葉で片付けられてしまうことが多い。
( もちろん、それらの言葉で説明がつかない物も多数存在している )
今のCG映像技術はあたかも本物のようなリアリティを持っているので、それらを見慣れている子供、現代人の目の前に、もし本物のUFOや宇宙人が現れても 「 映画みたいだなぁ 」 なんて、実際には妙な感覚になってしまうのかもしれない。
それでも今でもたまに、テレビでUFOを捉えた映像などが取り上げられることがあったり ( それらの真偽はともかく、結局は笑いのタネにされてしまうことが多いが ) 、宇宙人の特集をした雑誌や記事などに、人々は思わず惹き付けられてしまう。
やはり今も昔も未確認飛行物体、宇宙人、未知の世界に対する興味というものは、DNAに擦り込まれた潜在的なもののようで、たとえ科学が宇宙を知り尽くしたとしても無くならないのかもしれない。
目に見えないモノ、見える物さえも、疑いの目で見れば全てが疑わしく見えてしまう、疑わなければならない程にこの殺伐とした現代。
たまには子供のように純粋な気持ちと無垢な眼差しで、モノを見ることも悪くないのではないだろうか。
・ ・ ・ なんてカッコつけた理由は後から考えたことなのだが、次なる目的地は福島市の飯野 ( いいの ) 町、千貫森 ( せんがんもり ) という場所に在る 『 ふくしましUFOふれあい館 』 というトコロだ。
この千貫森とUFOの結びつきは後ほど述べるとして、バイクはあぶくま洞からのんびり北上して、程無く飯野市に入る。
正面にさほど標高が高そうでもないが、キレイな円錐形をした山が見えてきた。
「 存在感のある山だなぁ 」 と思いながらバイクを走らせていると、目的地はその山の麓に在った。
千貫森という名前から森の中に在るものだと思い込んでいたので、いきなりのフェイントを食らった感じだ。 ( 山の写真を撮り忘れてしまった ・ ・ ・ )

ふくしまUFOふれあい館
ふれあい館の前に立つ。
それなりに大人であろう私がUFOとの触れあいを求めて、平日に一人で入ろうということが、主観的にも客観的にも、なんだかチョット恥ずかしいなぁということを、つい認識してしまうのだった。
誰も見ていないのにハニカミながら、入り口のドアを開ける。
「 順路順に全て見終わったら声掛けてください。 最後にUFOに関する3Dの映像がありますので。 」
と少し訛り混じりの口調で、入館窓口のお姉さんが私に言った。
サラッと発せられた言葉の中に、どこか 「 アンタこの映像は必見だから見て行きなさいよ! 」 的なニュアンスを感じた。
見なければココから出してもらえないのだろうか!?
ひょっとして宇宙人の洗脳映像かもしれない ・ ・ ・ 気をつけねば。
入り口の前に立つ。
果たしてどんな世界が待ち受けているのか。

Let's go to mystery zone ( ? )
※ ※ ※ ※ ※

入り口をくぐり抜けると、そこはブラックライトで怪しく彩られた中にブルーのLEDが瞬くという、狭い通路で広大な銀河を連想させながらも、どこかノスタルジック漂う空間が広がっていた。

壁にはパネル越しに宇宙人の人形や、この千貫森付近の未来の姿を想像させるような展示物が、センサーライトで浮かび上がるというビミョーな演出で、半信半疑な訪問者に先制パンチを浴びせかける。
それらをなんとかやり過ごした先にはこじんまりとした空間があって、世界のUFO目撃情報や、宇宙人に関する資料、UFOグッズ ・ ・ ・ などなど、色々な意味で興味をそそられる代物が所狭しと並べられているのだ。

こう書いていると、いかにも眉唾物のチョットふざけた施設のように思われてしまいそうだが、決してそうではない。
日本におけるUFO研究家の第一人者でもある、故・荒井欣一氏が生前に収集したUFO関連の資料などを含めた、3千点余の収集物を展示しているのだ。

宇宙人と聞くと 「 地球侵略 」 など、未知の世界のモノに対してどこか怖いイメージに繋がってしまいがちだが、それだけではなくて 「 夢 」 を持った見方と想像をしてみようよと訴えかけてくる。
人間もこの広い宇宙空間の中では宇宙人であり、そして人間と同じような生命体が、どこかの星で文明を持って生活を営んでいても何の不思議もないのだ。
そんな当たり前のことを、若干チープなユーモアで覆い隠した展示物を通して気付かせてくれる、憎めない施設なのだ。
決して侮ってはイケナイ。

(左) : ホルマリン漬けの宇宙人の死体 ・ ・ ・ 入りのキーホルダー
(右) : CIAの秘密文書がナゼここに ・ ・ ・ !?
この千貫森には磁石の方位針が定まらず、南北を指さない地点が随所にあることから、地下に強力な磁場があるのではと考えられている。
昔からこの地では良質な砂鉄が採れ、古い住宅の床の間の壁の多くが砂鉄で塗られているのだそうだ。
千貫森の地質は周囲と異なっており、人工的に積み上げられたような岩石壁や、強く蹴ると地下に空洞があるような音が響く地面もあるという。
またこの山を中心に、謎の巨石群が点在していることから日本のピラミッドという説や、その端麗な円錐の形から巨人が土をこぼして出来た山という昔からの伝説もあったりと、なかなか謎に満ち満ちた一帯なのである。
そんな千貫森の周辺では、なんと300件以上ものUFO目撃情報がある。
UFOは磁気を動力源としているという説があり、それが磁場があるであろう千貫森とUFOとの結びつきを強めているのだ。
そんなことから、ここ飯野町は 「 UFOの里 」 として町をアピール ( 町おこし ) しており、いたるところでUFOという文字や関連させたものを見ることが出来るのだ。
その効あってか、全国からUFO信者や宇宙人愛好家が訪れて来るという。
もちろん、私のような興味本位の通りすがりの者であっても、なんの抵抗も疎外もなく受け入れてくれる、長閑で懐の深い町なのだ。
UFO内部を撮ったらブレが ・ ・ ・ 宇宙人からの妨害電波か?
私が色々と展示物を眺めたり熱心に写真を撮っていたら、先ほど応対したお姉さんがやって来た。
「 新潟からバイクで来られたんですか 」
ど、どうしてそれを ・ ・ ・ !?
まさか既に私は宇宙人によってスキャン & 分析されて、データがこの施設に送られているとでもいうのか?
と思ったが、そういえば窓口のトコロで、来館者名簿に名前と住所を記入したんだった。
今の時間帯の客は私一人だけのようで、駐車場にバイクが停まっているからなぁ 。 。 。
「 取材か何かでいらしてるんですか? 」 と、お姉さん。
「 いやぁ〜 そーゆーワケじゃ ・ ・ ・ 」
特に館内撮影禁止との断りもなかったが、何かマズかったのか?
ヤバい、宇宙人にチクられるぅ。
「 ココ以外にも、どこか立ち寄ってこられたんですか? 」
「 はぁ、あぶくま洞に行ったりしてきまして 」
ホッ、話題が変わったよ。
当たり障りのない会話をした後、お姉さんは 「 2階にお風呂も沸いてますので、よかったら入っていってください。 入浴料は入館料に含まれてますので。 」
と言って去っていった。
なるほど ・ ・ ・ お風呂、ですか 。 。 。
一通り展示物を見終えたので、窓口に行って 「 あの〜 見終わりましたけど 」 と告げた。
お姉さんは居らず優しそうな年配の男性が、申し訳なさそうな笑顔で3Dシアターへと案内してくれた。
シアター入り口には、なぜかインデペンデンス・デイのパネルが ・ ・ ・
小さいながら10人程が座れるシアターに私一人、映像が飛び出して見えるメガネを掛けて座る。
映像が流れる。
広い宇宙の映像から、惑星やUFOが飛び出してくる。
一応、のけぞったり、手で触る仕草などしてみたり。
内容はこの千貫森の謎やUFOとの関係など、なかなか興味深いものであった。
しかし最終的に行き着いているテーマは、この施設の名前にもあるUFO ( = 異星人 ) との 「 ふれあい 」 である。

『 千貫森の謎 』
地球人と異星人が、同じ宇宙人として交流できたらイイよね ・ ・ ・ という、壮大ながらほのぼのとした夢のあるテーマなのだ。
3D映像を見終わった後は、お姉さんのお言葉に甘えて風呂に入って行くことにした。
2階に上がると休憩スペースや大広間、会議室などがあって、風呂もちゃんと男女分かれて備わっている。
風呂は温泉ではないのだが ・ ・ ・ その名も 『 UFOがくれた電磁波エネルギーの湯 』

「 身体を洗ってから浴槽に入りましょう! 」 と、宇宙人からの警告が ・ ・ ・!
千貫森の磁場から発生している電磁波は人間の生活に良いエネルギーとして大昔から放射され、人心の安定や農作物の豊かな実りに、役立ってきたものと考えられている。
その電磁波を風呂に集積しており、腰痛や肩こりに効くよく温まるお湯になっている、というのだ。
UFOがくれた湯 ・ ・ ・ と言うので、いったいどんな浴場なのか想像もつかなかったが、意外にシンプル。
しかし浴槽は最近ではあまり見なくなったシルバーに輝くステンレス製で、まさに気分はギャラクシー。
何気に足を入れると、こりゃかなり熱い。 湯温計は50℃近くを指しているではないか。
我慢して入ろうと思ったが、チョット厳しい。 宇宙人て熱めの風呂が好きなのね ・ ・ ・ 。
そんな宇宙人には申し訳ないのだが、水で冷ましてから入ることにした。
風呂からの眺めはなかなか良く、近くの秋色に色付いた木々から遠くの山々まで見渡せる。
一人で湯に浸かりながら空を眺めていると、展示物や3D映像に影響されたのか、それともこの湯の効果なのか、なんだかUFOに出会えそうな気さえしてくる。
空を見上げてそんなコトを考えるなんて、何時以来だろう 。 。 。
風呂でサッパリ汗と埃を洗い流し、窓口で一礼してふれあい館を出たのが午後2時頃。
ふと施設の脇に、この千貫森の上まで行けるような階段状の道があるのが見えた。
階段の傍らには宇宙人の石像、看板には 「 UFO道 」 と記してある。

「 UFO道」 上り口
遊歩道ではなくユーフォー道という訳だ。
時間に余裕もあることだし、上がってみることにした。
上がり始めると、つづら折れのUFO道はなかなか急でかなりキツく、あっという間に汗だくになってしまった。
せっかく風呂でサッパリしたというのに ・ ・ ・ 水で湯を冷ました私の行為が宇宙人の逆鱗に触れて、こんな汗ビッショリな事態にされているのかー?
UFO道にはいくつか宇宙人の石像があって、そんな私をニヤニヤしながら見ているように佇んでいた。

ヒイヒイ言いながら写真を撮ったりして、ようやく千貫森の頂上に着いた。
標高は462.5m。
いつもバイクで標高1,000以上の峠を通過したりしているので、数字的にはあまり高く感じないのだが、徒歩での急なつづら折れのUFO道は、鈍った身体にかなり応えた。

頂上には変わったデザインの展望台があり、地面には何やら怪しげな物体がある。
どうやら宇宙人とコンタクトをとるための道具のようだが 。 。 。
清々しい風を浴びながら、展望台からの景色を眺める。
福島市街地や先ほど立ち寄ってきた阿武隈高原が、霞で少しぼやけながらもパノラマ風景となって広がっている。
しかし、気になったのは地上よりも空のほうだった。
何を念じるワケでもなく、ただボーっと空を眺めていたのだが、小鳥のさえずりが聞こえるばかりで ・ ・ ・ ( 小鳥に化けた宇宙人なのかー? ) ・ ・ ・ 長閑な昼下がりの、薄曇りで眠そうな空が浮かんでるばかりだった。

山から降りると、腹が空いていることに気付いた。
そういえば缶コーヒーを2本飲んだだけで、朝から何も食べていなかった。
ここに来た時から既に気になっていたのが、ふれあい館の目の前にある軽食もできるという 「 UFO物産館 」 。

普通の物産館なら腹が減っていても立ち寄りはしないのだが、なにせUFOな物産館である。
UFOと物産館という言葉が結びついているのが、私には斬新に思えてたまらない。
店内はUFOグッズもそれなりにあったが、どちらかというと福島県の名産品が多くて、UFO尽くめを期待してしまった私としてはちょっとガッカリ。
しかし日本を代表する ( ? ) UFO研究家、矢追純一氏が監修した 「 UFO探知ストラップ 」 なる多分レアなグッズも売られていたり ( 税込¥2,100はチト高い ・ ・ ・ ) 、福島県の名産品が取り揃えてあるので、充実はしていた。
さてと、軽食は ・ ・ ・ メニューに目を向ける。
カレー、そば、うどんなど、わりと普通のお品書きに混じって 「 UFO飛魚ラーメン 」 という文字が、ひときわ大きく輝いている。
これしかないだろう。

注文して出てきたラーメン。
見た目は普通だが、軍鶏 ( シャモは福島の名産の一つ ) ガラのスープをベースに飛び魚のだしが入っているという、アッサリながらもなかなか味わい深いスープだ。
全然UFOを感じさせる演出が無いのが、イイの悪いのか ・ ・ ・
( 後で知ったことだが、ナゼ飛び魚なのかというとUFOと同じく 「 飛ぶ 」 からだそうだ。 う〜ん 。 。 。 )
空いたお腹にちょうど良く収まって程よい満足感。 ごちそうさま。

・ ・ ・ ・ ・
外に出る。 時刻は午後3時過ぎ。
時間的にはまだ余裕はあるが、朝からもう充分に満たされた時間を過ごせたので、何の物足りなさを感じることもなく、帰路へと向かった。

帰る途中、猪苗代湖で休憩する。
薄雲にかき消されるように沈んでいった夕陽の残照が、朝とは違う湖の表情を作り出していた。
その色は、夏の朱とは違う秋の愁いを秘めている。
陽が落ちるのが早くなったものだ。
県境の山々にも雪が降ったと聞いた。
今年はこれで走り納めになるだろうか。
薄明かりの空に浮かんだ月と、仕事帰りの車の流れに急かされるように、私は家に向かって走り出す。

本日の走行距離 ・ ・ ・ 約489km
→
ふくしまUFOふれあい館 official page( ’09 11月20日作成 )
- end -
touring 3-3 '09

+ 3
嘉相滝 ( かそうだき ) を後にしたのが午前9時半過ぎ。
陽が差して思ったよりも気温が上がってきたので ( この時季にしては有難いことだ ) 、途中でジャケットの下のフリースを脱ぐ。 今日は寒暖の差が激しい。
バイクをノンビリ走らせて、阿武隈 ( あぶくま ) 高原に到着する。
ここにある 「 あぶくま洞 」 という鍾乳洞に潜ってみようか、というのが今回のツーリングの目的の一つだ。
あぶくま洞とは、、、
福島県の阿武隈高地の西側、仙台平 ( せんだいひら ) というカルスト台地 ( 石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が雨水、地下水などによって溶食されてできた地形 ) に1969年、石灰岩採掘中発見された鍾乳洞。
全長約600m ・ ・ ・ これは公開されている部分で、その奥にはまだ2,500m以上もの未公開部分がある ・ ・ ・ の洞内に、種類と数の多さでは東洋一ともいわれる鍾乳石が続く。
およそ8,000万年の歳月が創り出した、大自然の造形美なのだ。
( 参考 :
福島県田村市観光ガイド ・
滝根町HP ・
Wikipedia など )

駐車場には石灰岩の露頭
何故あぶくま洞に来たかったのかと言えば、いい加減地上の生活にも飽きたので、老後は地底にこもって暮らす予定なのでその予行練習に、というワケだ ・ ・ ・
というワケではなく、8,000万年という時間が生み出した自然の造形というものは、なかなか普段日常お目にかかれない。
鍾乳洞という場所も世間から離れた非日常的な空間なので、日常から逸れたいツーリングの目的地にはピッタリではないだろうか。
とは言っても福島を代表する観光地の一つ。
平日の午前ながら観光バスが数台、ツアー客を運び入れていた。
入洞料¥1,200を払って地下世界へ潜ってゆく。

入り口から少し入ったトコロで、早速 「 おわぁ 」 となる。
「 妖怪の塔 」 と名付けられた鍾乳石が、ライトでぼんやりと浮かび上がった。
・ ・ ・ 確かに、グズグズに崩れたような妖怪の顔に見える。
鍾乳石とは判っていても、いったいどういった経緯でこのような形になったのか、想像もつかない。
鍾乳石が1cm成長するには、70年〜100年かかるらしい。
自然はずいぶんと長い年月をかけて、よくもこんな悪ふざけをしてくれたものだ。
このように、洞内の特徴ある鍾乳石にはそれぞれ名前が付いているものもあり、光の演出 ( それは同時に影の演出でもある ) もあって、様々な表情を見せてくれる。

しかしどの鍾乳石を見ても、何かネバネバした未知の生物のように見えてくる。
まるでエイリアンの胃袋に踏み入ったようだ ( 多分こんな感じだと思う ) 。
しばらく進んで行くと道は二つに分かれて、一方は通常の見学コース、もう一方は探検コースという変化に富んだ少し遠回りのコースになる。
ここまで来たなら迷わず 「 探検コース 」 をチョイスしたい。
ただし別料金¥200という、地下世界の掟がある。

探検コースに入ると、通路はかなり狭くなる。
身体を横にしたり、這いつくばるほどに屈まなければ通れない箇所もあったりで、決められたコースではあるもののなかなかの探検気分が満喫できる ( 体格によってはかなりキツイ場所もある ) 。
ちなみに、洞内の気温は季節関係なく通年平均15度とのこと。
入ったときは外の気温が暖かくなっていたせいもあって、ちょうどイイ温度に感じられたのだが、狭い空間をしゃがんだり急な階段を上り下りしているうちに、かなり身体が熱くなってしまった。
しかも、上半身は1枚脱いで調節してあるものの、下半身は発熱素材のタイツに防風用のタイツ、その間にカイロとプロテクター、そして長めのソックスにジーパンと、見た目スリムながらかなりの防寒対策を施したままなので、 「 そのうち発火するんじゃないかい? 」 と思えるくらいに熱い。
当然、汗でびっしょりである。

何かの罠かと思うほど狭い
探検コースを終えると滝根御殿 ( たきねごてん ) という、洞内最大のホールが現れる。

滝根御殿
天井までの高さは、29m。
狭い通路の先にこんな広い空間が広がっているとは、ただただ驚くばかりである。
今から8,000万年前 ( 恐竜時代ですかね? ) から雨水が静かに石灰岩を溶かし続けて、ここまでの造形美を完成させていると思うと、想像の域を超えて畏怖の念を抱かずにはいられない。
鍾乳柱1本の中にさえ、人が何世代も入れ替わる以上の時間が閉じ込められているのだ。

ちなみに、ここでは毎年12月から1月の間の日曜、 「 あぶくま洞滝根御殿コンサート 」 なる、地元アマチュアの演奏によるイベントを行なっているようだ。
はたして8,000万年の鍾乳石は、どのような音響を演出してくれるのだろう。
滝根御殿を過ぎても、まだまだ見どころは続く。
その後も様々な容姿の鍾乳石達が連なっているのだ。

鍾乳洞を歩いていて思い出すのは、幼い頃にテレビで観た、映画 「 八つ墓村 」 である。
( いくつかのバージョンが在るが、私の場合は渥美 清が金田一を演じた1977年版 )
映画の中で、洞窟の中に武者の格好をした遺体が座っていたり、老婆の死体が鍾乳石の池に浮かんでいたりと、幼い頃の私には鍾乳洞とはかなり恐怖の場所であった。
まぁそんな視覚経験が無くても、地下という陽の光の当ることのない世界には、得体の知れないモノが潜んでいるかもしれないと思わせる魔力があるものだと思う。
魔力の中に存在する、気の遠くなるような時間の堆積とそれが創り出した神秘の形を、私はあぶくま洞で楽しく満喫できたのだった。
外界に出る。
約45分ほど洞内にいたのだが、随分久しぶりに陽の光を浴びた気がする。
外に出て暫くすると、身体が急に冷えてきた。
洞内で歩き回ってかいた汗が、外気に触れ冷やされてきたようだ。
駐車場の片隅で上着を脱ぎ、太陽熱を浴びて衣類にこもった湿気を抜く。
今日は朝から体感温度の差が激しい日だ。
仕事休んで ( 会社には法事と言ってあるが ) 遊びに出て、風邪ひいたなんてことになったらシャレにならん。
しばらく身体を温め汗を乾かし、再びジャケットを着込んで気合を入れ、あぶくま洞を後にした。
時刻は午前11時30分。

阿武隈高原の紅葉も見頃
( ’09 11月15日作成 )
- to be continued -
touring 3-2 '09

+ 2
人々が動き始めている平日の郡山市街地をすり抜け、東へとバイクを走らせる。
通勤渋滞でせめぎ合う空気の街を過ぎると、辺りは一気に長閑な山村風景に変わる。
何物にも急かされることがないので、無意識にアクセルも緩み、惰性に任せるようにノンビリと走る。
空模様は良好、気温も上がってきて正に秋晴れツーリング日和。
新しい春のような穏やかな天気だが、遠くの色づいた山々や道路脇の落ち葉、稲刈りされ越冬の準備を終えた田んぼ ・ ・ ・
そんな視界に映るセピア色が、これから寒い季節へ向かうことを教えてくれる。
ヘルメットの中で山口百恵の 『 秋桜 』 ( 作詞作曲 : さだまさし ) を口ずさむ。
最近ラジオで福山雅治がコピーしたのを聴いたためか、秋の景色を見て浮かぶ歌はコレしかなかった。

稲架(はざ)と言われる、稲の天日干し風景
今回のツーリングの目的地の一つは阿武隈 ( あぶくま ) 高原にあるのだが、そこへ行く前に時間に余裕もあったのでチョット寄り道することにした。
郡山市の隣の田村 ( たむら ) 市に在る、 「 嘉相滝 ( かそうだき ) 」 という滝を観に行くことにした。
私は滝を見るのは好きで、わりと色々な滝を見てきているほうだとは思うが、滝の特徴も色々あって落差が大きいものや幅の広いもの、糸のような白い筋が幾重にも流れるものから、身が竦むような激流まで様々だ。

嘉相滝
この嘉相滝の特徴は何かというと 「 低い 」 ということだ。
どのくらい低いかというと、 「 日本一低い 」 ということである。 落差は約2メートルと言ったところか。
それまでの広い川幅がせり出した岩で狭められ、その間に流れが集まり滝を形成しているのだ。

傍らの看板には 「 日本一低い嘉相滝 」 とある。
果たしてそれが公に認められているものなのか ・ ・ ・
そもそもコレは滝ではなく 「 段差 」 と呼ぶんじゃ ・ ・ ・ など、色々な疑問は浮かんではくるが、兎にも角にも滝ということだ。
流れそのものは、ゴウゴウと音をたてて豪快である。
それに、少し離れた岩場から写真を撮っていたのだが、細かい水飛沫が飛んでくる。
落差はちいさくても、ちゃんと滝らしさは併せ持っているのだ。
この流れは大滝根川 ( おおたきねがわ ) という川なのだが、辺りにはまだ早いながらも色づいた紅葉をいくつか見受けることができた。
滝周辺はちょっとした渓谷といった雰囲気なので、全体的に紅葉が見頃を迎えたなら、美しい景色をみせてくれることだろう。
川沿いには木道もあって、散策できるようになっている。
時間に制限がなければ、半日くらいは居てもイイかなぁと思わせられる良い場所であった。

今回は紅葉の名所や見頃の場所を意識してツーリングしているわけではないのだが、こういったちょっと寄り道した場所で季節の美しい風景に出会えると、なんだかとても徳した気分になれる。
阿武隈高原に向かうまでの時間によっては、この嘉相滝は立ち寄る予定から外そうと思っていたのでなおさらだ。
日頃の行いが良いこともあるのだろうが、早起きした甲斐があったというものだ。
ちなみにこの嘉相滝までの道のりは、県道300号と大滝根川が交わる辺りの道を行くのだが ( 案内板がある ) 、後半の約1kmはかなり狭い未舗装路となり車のすれ違いは不可なので歩くことになる。
バイクであれば路面を選んで走ればなんとかなるが、充分に気をつけたい道だ。
( 私はバイクで行きました )
滝の周辺で一休みし、今来た道を戻って再び東へと走りだす。
時間が止まってしまったのかと思ってしまうほどに、長閑な風景と空が、どこまでも続く。
( ’09 11月10日作成 )
- to be continued -